これは聖書の間違いではなく、佐倉さんの用いている聖書翻訳(岩波書店の旧 約聖書翻訳委員会のものか?)の翻訳間違いです。 新世界訳ではこうです。3節だけ引用すると、

その後エホバはこう言われた。「わたしの霊が人に対していつまでも定めなく働くことはない。彼はやはり肉であるからだ。したがってその日数は百二十年となる。」
ですから、ここで神は人の一生がノアの洪水後すぐに120年になったとは言われていません。恐らく、これも「『天地創造物語の矛盾(一)--- 創造の順序の矛盾 ---』に対する反論 その2」で述べたワウ転換法を用いて時制を書き換えたものでしょう。


99年12月5日

おっしゃるように、洪水後ただちに人の一生が120年になると解釈しなければならない必要はありません。しかし、洪水以前に、

さて、人が地上にふえ始め、彼らに娘たちがうまれたとき、神の子らは、ひとの娘が、いかにも美しいのを見て、その中から好きなものを選んで、自分たちの妻にした。そこで、主は、「わたしの霊は、永久に人のうちにとどまらないであろう。それは人が肉にすぎないからだ。それで人の齢は、百二十年にしよう。」と仰せられた

(創世記6:1〜3、新改訳)

にもかかわらず、洪水以後も、だらだらと数世紀もの長期にわたって、200歳から950歳にいたるまで、120歳をゆうに越える人物の記述が沢山出てきます。

ところで、「主は、地上に悪が増大し、その心に計ることがみな、いつも悪いことだけに傾くのをご覧になった」ということで、「わたしが創造した人を地の面から消し去ろう」と決心し、ノアの時に洪水が起こった、というのが聖書の話(創6章)ですが、ノアのお父さん(レメク)は、実は、神が最初に作った人、アダムと同時代の人でした。どうして、こんな奇妙なことになっているかというと、アダムは930年生きたことになっている(創5章)からです。

「人の一生が120年」になったという物語の真相は、神話と事実を区別できない古代人が、神話と歴史のつじつまを合わせるためにおこなった苦肉の策(追加された神話)と言えるでしょう。