ヨセフをエジプトに売り渡したのは兄弟たちです。しかし、その仲介人に当時
イシュマエル人と呼ばれていたミディアン人が存在しました。イシュマエルとミ
ディアンは異母兄弟でした。ですから、後にイシュマエルの子孫とミディアンの
子孫が結婚し、ヨセフの時代までにはイシュマエル人とミディアン人はほぼ同義
の意味で使われていました。兄弟たちはヨセフをイシュマエル人と呼ばれていた
ミディアン人に売ったのですが、彼らはヨセフをエジプト人のポテパルに売りま
した。ですから結果的に、兄弟たちはヨセフをエジプトに売ったことになりま
す。
イシュマエルの子孫とミディアンの子孫が結婚し、ヨセフの時代までにはイシュマエル人とミディアン人はほぼ同義の意味で使われていました。それは、大うそです。
創世記25章によれば、次のようになっています。
アブラハム ─┬─ サラ(妻) イサク │ ヤコブ ┌┬┬┬┬┼┬┬┬┬┐ ヨセフとその兄弟たち アブラハム ─┬─ ケトラ(後妻・そばめ) ミディアン アブラハム ─┬─ ハガル(女奴隷エジプト人) イシュマエルこの系図でも明らかなように、ミディアンもイシュマエルも、ヨセフたちの父ヤコブにとっては、叔父にあたります。したがって、この事件が起きた当時(父ヤコブも生きてた)、ミディアン人とイシュマエル人が同一視されていたと考えるのはまったく不可能です。