佐倉哲エッセイ集

日本と世界に関する

来訪者の声

このページは来訪者のみなさんからの反論、賛同、批評、感想、質問などを載せています。わたしの応答もあります。


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Isao Hamadaさんより

初めてメールを差し上げます。 以前からエッセイを読ませていただいていました。 しばらく更新が無かったので放っておかれているのかと 思っていましたが、更新されたようなので 安心しました。

キリスト教と民主主義の関係の議論などが 非常に気に入っています。私もアメリカにすんでみて アメリカが如何にキリスト教国家かという事に気づかされました。 生活の隅々にまでキリスト教が入ってきておりあまり信仰心の 無い人の思考パターンもキリスト教的だと思わされます。

また私は仏教思想が好きで特に般若心経は気に入っているのですが、 「空」の思想の考察は良く出来た推理小説を読むようで 次の章の展開を期待しています。


作者よりIsao Hamadaさんへ

キリスト教と民主主義の関係の議論などが非常に気に入っています。
このように具体的に、どこが気に入ったとか、気に入らないとか、書いていただくと本当に嬉しいです。

[アメリカでは] あまり信仰心の無い人の思考パターンもキリスト教的だと思わされます。
僕も本当にそう思います。たとえば、国連やWTO(世界貿易機構)のような世界機構は、国際的問題を解決するために各国の代表が話し合う機関である、とわたしたち日本人は考えていますが、アメリカ人は違います。97年2月17日付けのニューヨーク・タイムス紙では次のよう断言されています。アメリカ人にとって国連とは「アメリカが自分自身の型に似せて世界を造るための手段("forum for the United States to try to create a world in its image")」である、と。ここでサンガー記者が使っている「自分自身の型に似せて…造る("create...in its image")」という表現は、聖書を知っている人なら誰でも知っている、創世記第1章27節の表現なのです。すなわち、
神は御自分にかたどって人を創造された。("God created humankind in his image....")
おそらく、サンガー記者が、この経済記事を書いているとき、聖書のことなどまったく意識になかったでしょう。わたしたちが箸を使って食事をするとき無意識的に指が動くように、アメリカ人の思考やその表現には、ごく自然に、まったく無意識的に、キリスト教の考え方が現れることが多々あるようです。この記事の例では、アメリカ人は、神が神に似せて人間を造ったように、アメリカはアメリカに似せて世界を作り替えなければならない、という使命感をもっているということが、図らずも、露出しているわけです。

「アメリカに似せて世界を作る」とは具体的にどういう意味かと思って読み進んで行くと、案の定、WTOのような経済機構でさえ、実はそれを通して「加盟国の国境の内側に入り込む("go inside the borders of the 70 nations")」ためであり、結局のところ「アメリカの価値観を世界に輸出する("exporting American values")」目的のために設立したものだ、というのです。実に簡単明瞭です。こうして、今回のWTOの通信に関する同意によって、「アメリカ合衆国は効果的にアメリカの価値観を輸出することが出来た("The United States has effectively exported American values....")」、という米国通商代表のバーシェフスキー女史のいわば「伝道報告」が、この新聞記事となっているわけです。

まるで17世紀のピューリタン時代の牧師の説教を読んでいるような気にさせられますが、これはまぎれもなく、1997年2月17日付けの、「ニューヨーク・タイムス紙」という一流新聞の、デイビッド・サンガーという著名な新聞記者の書いた、一つのなにげない経済記事なのです。このように、無意識的に隠蔽されたキリスト教思想が、アメリカの日常生活のあらゆるところにあるのが、アメリカ合衆国という現代的宗教国家のきわだった特徴である、と僕には思えます。

「空」の思想の考察は良く出来た推理小説を読むようで次の章の展開を期待しています。
「空」の思想に関しては、ちょっと休んでいましたが、関心をもって読んで戴いている方があるとなると、やっぱり、やる気がわいてきます。

ご感想、本当にありがとうございました。



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