佐倉哲エッセイ集

キリスト教・聖書に関する

来訪者の声

このページは来訪者のみなさんからの反論、賛同、批評、感想、質問などを載せています。わたしの応答もあります。


  ホー   キリスト   聖書の 間違い  来訪者 の声 

水野さんより

00年2月14日

間違いはあるが聖霊により書かれたもの -- という仮説

こんにちは。水野と申します。30歳の、無信仰の男です。 佐倉さんの明快な論理に、いつも感心しながら読まさせていただいております。

「聖書の間違い」のホームページにより、聖書が無謬の書物ではないことが、 よく分かりました。(はじめはかなりショックでしたが)

そこで、自分なりに考えてみたのですが、こういう仮説はどうでしょうか? つまり、聖書にはたくさんの間違いがあるが、 聖書はあくまで神の聖霊により書かれたものであり、 神はあえて間違いが存在するのを許しておられる、という考え方です。

聖書を読むと、神にとって望ましい人間とは、神について知ろうとする人間よりも、 神を信じようとする人間のように思われます。たとえば、イエスの12使徒の中には、 イエスに会った瞬間、迷わずイエスの弟子になっている者がいます。 パウロにしても、一瞬のうちに改宗をしていますし、 ほかにも、そういう例は数多く記述されています。

つまり、信仰は、知識を得た結果のものではないようです。ですから、聖書に 少々の(多々の?)間違いがあろうが、神にとってはどうでもよく、 「神を真に求める者がこの本を読めば、充分に神を信じることができる」 そういう意味で、聖書は完全な書物なのかもしれません。 聖書が、一語一句に至るまで完璧なもので、科学的・歴史的・人道的等、 あらゆる面で非の打ち所のないものであれば、 おそらく全人類が容易に神を信じたことでしょう。 しかし、神はそのような信仰をはなから望んでおらず、 無条件にためらうことなく信じる者(あるいは信じる素質のある者)だけに、 ご自分を啓示される、という気がします。

そのためには、ある程度の間違いがあったほうが、神にとって好都合なのかもしれません。 神を信じない者に、「信じないでいられるだけの正当な根拠」を与えられるわけですから。 聖書は、それを読むひとの心を映し出す鏡みたいなものなのでしょう。 佐倉さんが懸命に聖書の間違いを暴いているその後ろで、案外神は、 思うツボとばかりに、余裕の笑みを浮かべていたりして?

これは、私の仮説であって、誰かの意見を借用したわけではありません。 また、自分自身、この考え方が正しいのかどうか、よく分かりません。 ただ、そんなに間違っていない気がするのです。 そこで、佐倉さんの批判をお受けしたく、メール致しました。 ご返事いただければ、光栄です。

これからも読むのを楽しみにしております。がんばってください。では。



作者より水野さんへ

00年2月21日


こういう仮説はどうでしょうか? つまり、聖書にはたくさんの間違いがあるが、 聖書はあくまで神の聖霊により書かれたものであり、 神はあえて間違いが存在するのを許しておられる、という考え方です。

・・・ これは、私の仮説であって、誰かの意見を借用したわけではありません。 また、自分自身、この考え方が正しいのかどうか、よく分かりません。 ただ、そんなに間違っていない気がするのです。 そこで、佐倉さんの批判をお受けしたく、メール致しました。

「神はあえて間違いが存在するのを許しておられる」といった、水野さんの仮説のように、神の真意に関わるような仮説が正しいかどうかを決定するためには、わたしたちが神についてすでに知識を持っていることを前提とします。わたしには神についての知識がないので、そのような仮説を吟味批判の対象にすることが出来ません。

わたしの吟味の対象はあくまでもわたしの手の届く範囲のもの(たとえば、聖書に間違いがあるかという問い)に限ります。

「聖書の間違い」シリーズの目的は、「聖書は、神の霊に導かれて書かれたものであるから、すべて正しく、いかなる間違いも含まない」という主張の真偽を吟味することです。(「はじめに」)
と明確に規定している通り、わたしが、「聖書は神の聖霊によって書かれたものか」を吟味の対象とせず、むしろ、「間違い探し」というはなはだ低レベルな作業に終始しているのもそのためです。

このような作業から導出できる結論も、したがって、はななだ射程距離の短いものです。せいぜい、「聖書に書いてあるから」という理由が真理の根拠にはならない、ということぐらいのものでしょう。たとえば、神の真意は何かという問いに対する答えを「聖書に書いてあるから」という理由で根拠付けはできない、というようなことが言えるだけです。


おたより、ありがとうございました。


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