ベエル・シェバには「誓いの井戸」または「七の井戸」という意味がありま す。そこは、ユダの南部で初め井戸があり、後にそこに都市ができました。そこ は地中海の海岸と死海の南端のほぼ中間に当たり、ヘブロンの南西約45km、カザ から南東にほぼ同じ距離のところにあります。

ベエル・シェバという場所のことはハガルに関連して初めて述べられていま す。アブラハムがハガルを去らせた時、ハガルは息子のイシュマエルと共に「ベ エル・シェバの荒野を」さまよいました。(創世記 21:14) ハガルは、イシュ マエルが渇きのために死ぬことを予期して息子から離れましたが、神はその少年 の声を聞き、ハガルをある井戸の所へ導かれました。(創 21:19) その後の記 述からすると、この井戸はアブラハムが以前に掘っておいたものの、その時には まだ名前が付けられていなかったのかもしれません。 フィリスティア人の一部 の人々はこの地域にあった一つの井戸を力ずくで奪いました。ゲダルの王アビメ レクはそのことを知らなかったようです。アビメルクは軍の長フィコル(ピコ ル)と共にアブラハムに近づき、平和の契約を結ぼうではないかといいました。 アビメレクの僕たちが暴力を振るってその井戸を奪ったことでアブラハムがアビ メレクを厳しく批判すると、アビメレクはそのことを知らなかったと言明し、ア ブラハムと契約を結び、その井戸の所有権がアブラハムにあることの証拠として アブラハムから7匹の雌の子羊を受け取りました。「このゆえに[アブラハム] はその場所をベエル・シェバと呼んだ。そこにおいてその両人が誓いを立てたか らである。」(創 21:31) 次いでアブラハムはそこにぎょうりゅうの木を植 え、「定めなく存在される神エホバの名」を呼び求めました。(創 21:33) アブラハムはイサクを犠牲としてささげるため、そのベエル・シェバからモリヤ まで行き、そこから戻ってきてベエル・シェバに住みました。―創 22:19。 アブラハムが死ぬと、フィリスティア人はアブラハムが掘った井戸をふさいで しまいましたが、イサクは後にその地に住むようになった時、それらの井戸を再 び使えるようにしてゆき、それらを父が付けていた名で呼びました。(創 26: 18) イサクはフィリスティア人からの反対に遭ってあちこちへ移動し、ついに レホボトに広やかな場所を見つけましたが、後にベエル・シェバに上って行きま した。(創 26:22,23) イサクの僕たちがベエル・シェバで井戸を掘り抜いて いた時、ゲラルの別の王であろうと思われるアビメレク(アブラハムと契約を結 んだ王と同じ名、もしくは同じ称号を持つ別の人、あるいは同一人物かもしれな い)が、軍の長フィコルを伴ってイサクのところにやって来て、イサクと平和の 契約を結ぼうではないかと言いました。彼らは宴を設けて飲んだ後、翌朝早く起 き、相互に誓いのことばを述べました。その同じ日に井戸から水が出、イサクは その名をシブア(シャバ)と呼びました。これは「誓い、または七」という意味 で、七つのものにかけて立てられた誓い、もしくは誓いのことばを指していま す。(創 26:31-33) イサクは「シブア」(シェバという名前の別の形)を用 いることにより、アブラハムがその場所に付けたベエル・シェバという名前をと どめておこうとしたようです。これがアブラハムによって以前に掘られ、イサク の僕たちによって掘り直されたのと同じ井戸である可能性は、先程指摘した創世 記26章18節に示されています。イサクはこの地に住んでいた間に、エサウのかわ りにヤコブを祝福し、ヤコブをラハンにやって兄弟ラバンの娘たちの中から妻を 迎えさせました。(創 28:1,2,10) 後ほど、イスラエルという名で知られる ようになったヤコブは、エジプトにいる息子のヨセフに会うために下って行く途 中、ベエル・シェバでイサクの神に犠牲をささげました。―創 46:1-5。